貴方の見ているドメインは

ドメイン www.meetaliens.com

このページについて

    「さうです」

    「何でもないぢやないかね、君から聞いたとほりだ。心配することはないと思ふな」

    と、急に練吉が小耳にはさんで云つたのは、多分黙つて他のことを考へていたのだらう。

    「あの人は来まいて」

    「おい、ビールをくれ」と、しやがれた低い声で云ふと、土間の安テーブルの前に腰を下した。

    房一は彼等の姿が消えてからもしばらくの間、ぼんやり元の椅子に腰をかけて、たつた今彼等がそこを曲つて行つた入口の土塀、それで一所だけ区切られた表の道路、その向ふに稍高手になつた畑地、といつたやうな物を漠然と眺めていた。

    「患者さんですよう」

    「さうだね。まさか医者の家に古障子の玄関といふわけにもいくまいね」

    「このまゝでは責任者を出さなくてはならなくなる。手落ちは向ふにあるとしてもですよ」

    房一はまだ考へ深さうにしていた。

    「いやあ、全く」

    私は朝と夕方と真夜中に入浴する。朝、ぬるいうちに私がはいり、そのあと熱くして家族がはいる。それをほッとくと、夕方、私には手頃のぬるさとなっている。

    「チブスじゃないです。医者は何とか言っていたですが、まあ看病疲れですな。」

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40